TOP栗生楽泉園の医療活動

栗生楽泉園の医療活動

栗生楽泉園で実践されている医療活動とは

「プライマリ・ケア」と「ハンセン病の後遺症治療」が主な医療

プライマリ・ケア 後遺症治療 終末期医療

医療活動の対象は、入所者さんが中心です。ハンセン病はすでに完治しており、再発もほとんどありません。 医療的な特徴は、ハンセン病の後遺症の治療をしている点です。代表的な症状は 麻痺と変形で、麻痺は顔面に残ると 、まぶたを自然に閉じるのが難しく、角膜や視力に異常をきたしやすくなります。麻痺が知覚に及ぶと痛い、熱い、冷たいなどが感じづらくなるので熱傷や創傷を起こしがちです。発見が遅れて重症化し、昔は足を切断したという方もいたそうです。
入所者さんが生活困難となる原因は、普段の暮らし中に潜んでいます。私たちは、入所者さん本人が自覚していない異変にいち早く気づけるよう毎日の触れ合いを大切に、ケガや病気を未然に防いで安全に過ごしていただけるよう尽力しています。

連携医療機関にもご協力をいただき、必要とされる医療を提供できる体制が構築できています専門的な治療が必要な場合は、連携している医療機関に治療を委託しています。委託を判断することも医師にとって重要な仕事です。委託機関と連携の深め、良い関係づくりをしておくことは、入所者さんも安心して治療に専念できることにつながります 。
多くの入所者さんが抱えている慢性的な内科疾患については、通常、治療棟 で診察します。治療棟に来るのが難しい方には、往診をしています。また、定期的に巡回訪問をして、日常的な健康管理にも力を入れています。
入所者さんが 、安心して毎日を送れるよう寄り添う当園での医療活動は、高齢者医療、在宅医療の要素が強いといえます。当園で暮らす入所者さんと、日々顔を合わせ、言葉を交わす中で、肉親に接するような気持ちで、一人ひとりを思いながら医療活動に励んでいます 。

外来診療(治療棟)における医療

治療棟では、入所者にお越しいただき診療を行っています。入所者の主な疾患は高齢者に多い肺炎や膀胱炎など内科的なものが多いです。ハンセン病後遺症の治療も看護師と協力しながら行っています。

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オーダリングシステム

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遠隔画像診断

入院(病棟)における医療

通常、入所者は個々の身体障害の程度や、独身・夫婦別に不自由者棟及び一般舎という個室の施設で療養生活を行っていますが、病状等が悪化した場合は、病棟へ入室し治療を受ける体制となっています。病棟入室者数は平均で15名ほどで、一人ひとりとしっかり関わりながら医療活動を行うことができます。摂食・嚥下障害のある入所者には、多職種で構成するNSTが介入し、可能な限り経口摂取できるよう関わっています。

不自由者棟における医療

不自由者棟には日常的に介護の必要な方が生活をしていて、看護師、介護員が常駐し入所者の生活を支援しています。医師は治療棟に来ることが出来ない入所者のもとへ訪問して診察を行なったり、看護師・介護員と協力して医療ケア・介護ケアを行っています。

訪問による診療(一般舎)

一般舎にお住まいの方のもとへ定期的に足を運び様子をうかがっています。栗生楽泉園という地域で暮らす皆さんの「生活背景まで診る」ということは、当園の医療活動において必要なことです。日常生活に潜む危険も事前に察知し、看護師、コメディカルと協力して支援していくことが必要です。

地域医療連携

栗生楽泉園で実施できない検査、治療、手術は連携医療機関へ委託をしています。医療連携がしっかりしているので、安心して医療活動を行うことができます。

地域医療連携機関
西吾妻福祉病院
原町赤十字病院
群馬大学医学部附属病院
渋川医療センターなど

We're a team! わたしたちも医師と一緒にチームで入所者を支援しています

  • 治療棟
  • 病棟
  • 薬剤科
  • 検査科
  • 放射線科
  • 庶務課
  • 会計課
  • 福祉課

 illustrate with numbers 数字で見る栗生楽泉園の医療活動

  • 入所者の平均年齢87.8歳 平均入所期間65.7年
  • 入所者数53人 一般舎24名
  • 病棟17名 不自由者棟12名
  • 職員総数180名 常勤医師5名
  • 連携医療機関委託診療件数780件/年間

当園に関するご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

  • TEL 0279-88-3030
  • メールでお問い合わせ
  • 見学へお越しください
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働く医師の本音

栗生楽泉園で働く医師が普段どんなことを考えながら医療活動を行っているのか、インタビューをしました。医師の生の声をご紹介します。

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尊ぶ、寄り添う、協力し合う忙しさで忘れられがちな、医療の本来の姿があります。ー 医局長 石井俊也

職歴と、栗生楽泉園を選んだ理由を教えてください。

小児科で研修医を務めた後、大学で衛生学を研究して、成田空港検疫所に就職しました。検疫医療専門職として海外感染症情報の収集や、予防接種などに関与。その後、東京検疫所に検疫課長として異動してからは、予防接種以外はほとんどがデスクワーク中心の毎日を送っていました。

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栗生楽泉園で勤務していた元上司である医師から誘いを受けたのはそんなとき。臨床から20年近く離れていたし、専門は小児科でしたから、躊躇して最初は断りました。ところが、上司の話を聞くうちにだんだん心が傾いてきたのです。多くの入所者さんは健康で、病気になってもほとんど内科的な治療で良くなること、診察するのは入所者さんだけで状況を把握しやすいこと、特別な治療が必要なときは提携病院が力を貸してくれることなどを聞いて不安が消えていきました。草津温泉近くという環境も魅力でした。私は九州出身ですので、雪に対する憧れもありました。

ハンセン病の元患者である入所者さんと向き合う不安や、ハンセン病自体に対する心配はありましたか?

長い間、差別を受けて辛い思いをされてきた入所者さんは、他人のことを簡単には信用しない、疑い深い方が多いのではないか。当園に来る前はそう思っていました。しかし、それは大きな誤解でした。みなさん、温かく優しい方ばかり。限られた人数ですから、すぐに顔見知りになり、フレンドリーに話ができるようになりました。

勤務前、ハンセン病に関する知識はほぼ皆無。インターネットで調べたところ、日本では新たな発症はほとんどなくて、元患者が再発する事例もなく、細菌自体も弱くて抗生剤で簡単に死滅するとあったので心配はありませんでした。

主にどのような医療活動をしていますか?

病棟では、病気を発症した方の検査、診察、治療をします。症状が重くて外来に来られない方は、お部屋まで出向きます。急性疾患のほとんどは、高齢者に多い肺炎や膀胱炎など内科的なものです。自分たちの力が及ばないときや手術が必要な場合は、提携している病院に協力をお願いします。一人でどうにかしなくてはならないということはありませんし、提携病院とはしっかりとしたパイプができていますから、安心して入所者さんをお願いできます。
CT画像は、遠隔で診断してもらえます。早ければその日のうちに結果が戻ってきますし、レポートがついてくるので勉強になります。

医療活動をする上で心がけていることは何ですか?

ひとつは、丁寧に接すること。当園で診察をするのは入所者さんに限られていますから、その分、一人ひとりにしっかり関われます。入所者さんの話にじっくりと耳を傾け、心も満足していただけるよう心がけています。

もうひとつは、素早く行動することです。入所者さんの平均年齢は87.8歳。ご高齢者は、治療が遅れるとそれだけ命の危険が増しますから、スピーディーに対応するよう気を付けています。

やりがいを教えてください。逆に大変だと思うことはありますか?

入所者さんの病気をいち早く見つけて、治療がうまくいき、元気を取り戻されたとき。お役に立てて良かった、と心から思います。また、月並みですが状態が良くなって「ありがとう」と言っていただけるのは、やはり医師冥利に尽きますね。

大変なのは、夜間や休みの当直時、入所者さんが自分の専門以外の病気になってしまったり、手に負えない病状に陥ったりしたとき。提携病院があるので心強いのですが、早く良くなっていただきたいという思いが先に立ちますのでその分、大変に感じます。

栗生楽泉園に来て良かったと思うことは?

たくさんあります。一番は、恵まれた医療環境に身を置けること。心にゆとりをもって入所者さんと接し、頼りになるスタッフとみんなで心を合わせて治療に向かう――、医療活動をするうえで重要な心の部分を大切にできる、医師にとって理想的な環境です。仲間にも恵まれています。特に園長先生は、人間的にも尊敬できる素晴らしい方です。そういう先輩医師や仲間に巡り合え、お互いを尊重し合って一緒に仕事ができるのは、この上ない幸せです。

二番目に、自分の時間が取れること。ほかの病院では夜中に患者が急変すると担当医が呼び出されますが、当園では当直医が対応するので、ほぼ時間通りに帰宅できます。今までの職場ではほとんどの医師が帰らないので、必要がなくても1~2時間は残っていましたが、当園ではそういう雰囲気がないので時間になったら気兼ねなく帰ることができます。また当直のときも、何ごともなく朝を迎えることが多いですね。

三番目は、二番目に関連しますが、自由になる時間が多いので、今まで出来なかった勉強もできること。私は専門が小児科ですから、空いた時間を活用して内科の勉強をしました。今は、インターネットでいろいろなことが調べられますから、時間さえあれば新しい情報を得ることができます。論文も腰を据えて読むことができます。

四番目は、年に20日の年休を気兼ねなく取れること。私は単身赴任なので、年休を活用して家族の元へ帰っています。

五番目は、毎日温泉に入れること。今までは年に1度行ければいい方でしたから、官舎のお風呂が温泉というのは夢のようですね。

生活スタイルはどう変わりましたか? 休日の過ごし方は?

時間に追われることなく、自然の中で身も心も伸び伸び過ごせるようになりました。休みの日は、趣味の散歩を楽しんでいます。湯畑まで足を延ばしたり、草津の町を巡ったり、リラックスしてのんびり過ごすことが多いですね。スタッフの中にはスキーやスノーボードに行ったり、プールやジム通いをしたりアクティブに過ごしている人も大勢います。

これから共に働く仲間に求めることや、メッセージは?

入所者さんのために力を出し合い、医師同士、お互いに迷惑をかけないように働けたらいいなと思っています。

当園は、入所者さんとじっくりと向き合いたい人、コミュニケーションスキルを挙げたい人、空いた時間を活用して勉強をしたい人、私のように臨床から離れていていた人にもおすすめです。
忙しい医療現場で自分を見失ってしまった人にも向いています。草津の豊かな自然と、温かな入所者さん、信頼のおける仲間に囲まれ、ライフワークバランスのとれた理想的な毎日を送る中で身も心も癒され、医療に取り組む喜びとやる気がむくむくと沸き上がるのを感じられると思います。

  • どんな場所?どんな設備? 栗生楽泉園の医療環境
  • 暮らしは? 栗生楽泉園の生活環境

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